老犬の介護:寝たきり犬の食事・運動・寝床・排泄
近年は、ペットフードの進化によって犬の寿命が延び、ペットとして飼育されている犬のうち3 割近くが老犬(生後10年以上) とされています。
犬は犬種や大きさによって老化のペースが異なりますが、10歳以上では老化現象が現れ始めます。
(犬の老化現象については、 犬の老化(睡眠・意欲・食事) ? 犬の老化(排泄・運動能力・視力・聴力・見た目) を参照してください。)
ここでは、犬が寝たきりなった場合の介護のしかたを説明します。
個々の状況に応じて、知恵を働かせ工夫することも大切です。
犬が最期のときを迎えるまで、愛情と思いやりをもって接してあげてくださいね。
寝たきりになった犬の食事
・ 膝枕にしたり、クッションを犬の頭の下に敷くなどして、犬の頭の位置が食道よりも高くなるように寝かせます。
・ 頭の高さを保ったまま食事を与えます。
・ 流動食をあたえる場合は、ハチミツの容器のように少しずつ注入できるものを使うとよいでしょう。 シリンジ(針のない注射器) も便利です。
・ 口の横から、少量ずつ食事を流し込みます。 (顎を上向きにすると、器官に詰まってしまうので、横から流しこむようにしてください。)
寝たきりになった犬の運動
自力で運動ができなくても、外気に触れさせたり、マッサージをして、脳を活性化させることが大切です。
犬の精神衛生にもよい影響を与えます。
・ 外気に触れさせるには、犬用のカートに乗せたり、抱っこをしたままお散歩に出かけるとよいでしょう。
・ 足を持って曲げ伸ばしさせたり、足先をもって軽く回すなど、筋肉を動かすマッサージを定期的に行うようにしてください。
・ 指圧したり、さすったりして、血行を促すようなマッサージも行うようにしてください。 犬のマッサージについては、 犬のマッサージ を参照してください。
寝たきり犬のための寝床
・ 人間を頼ることしかできない状況なので、独りにすると不安を抱き寂しがります。 家族がいつも居る場所(リビングなど) に寝床を設置してあげてください。
・ 床ずれ予防のために、柔らかい素材のマットレスを敷いてあげましょう。 (低反発素材・犬用介護ベッドなど)。
・ 老犬は抵抗力も低下しています。寝床には洗える素材のカバーをかけ、清潔に保ちましょう。
・ 床ずれ予防のために、時々寝返りを打たせるようにしてください。 犬を軽く持ち上げながら向きを変えさせるようにするとよいでしょう。
・ 床ずれができてしまった場合は、動物病院で診てもらいましょう。 床ずれが治るまでは、ドーナツ枕などを使って患部が直接マットレスに触れないようにしてください。
・ 足先の床ずれ防止や血行不良による冷え対策のために、靴下を履かせてもよいでしょう。
寝たきり犬の排泄処理
自力でトイレに行けなくなったら、犬におむつを着ける必要があります。
・ 人間の赤ちゃん用のものでも代用できますが、市販の犬用のおむつ(マナーパッド・マナーベルトなど) の方が装着させやすいでしょう。
・ おむつの取り替えが大変な場合は、犬のお尻の下にトイレシートを敷いておいてください。
・ 汚れの拭き取りを簡単にするため、お尻周りや尾の付け根の被毛を短くカットしておくとよいでしょう。
★