先日、社外へメールを書いていたときのことです。
自分の会社のことを「弊社」とこれまで使ってきたことから「弊社」と書こうとしてたところ、「そういえば、この前、A社のBさんは自分の会社のことを当社と話してたなあ」と思い出し、書きかけのメールに「当社」と書きました。
「いやまてよ、当社と弊社は同じ意味なのか?使い方に違いはないのか?」と思いとどまり、念のため調べました。
結局、「当社」は社内で使い、「弊社」は社外に対して使うことが判明しました。
つまり、この場合は、社外へのメールなので「弊社」が正しい使い方であることがあらためて認識しました。
「念のためだが、調べてよかった!」
ビジネスパースンにとって、メール、会議議事録、プレゼンなどの文書作成能力、電話、普段の仕事の報告連絡相談、プレゼンなどの話し方能力の向上は必須です。
英語風に言えば、文書作成能力はライティング能力、話し方能力はスピーキング能力となりますか。
ところで、仕事上、当社・弊社・貴社・御社を、何気なく使っていると思います。
場所、文章、口語と、ところかまわず使っていて、あらためてその違いについて意識しなかったこともあるのでは?
そこで自戒も含め、ここでは、当社・弊社・貴社・御社の使い分けについて解説したいと思います。
自分の会社は「当社」「弊社」
「当社」「弊社」とも意味は同じで、自分の会社を指します。
ただし、使う場所で注意が必要です。
●「当社」=社内や身内で使います
●「弊社」=社外に対して使います
「当社」と言われる場合もありますし、「我が社」と言われる場合もあります。
「弊社」は「弊」という字を使うのでへりくだった印象を与えますね。これは謙譲語といい、より丁寧な言葉と言えましょう。
「当社」「弊社」とも、文章(書類やメール)でも話し言葉でも使えますが、身内に対して使うのか、社外に対して使うのかは、しっかり使い分けましょう。
社内であれば、上長や更に上をいえば社長に対して、へりくだった弊社を自分の会社の意味で使うのは、上長や社長は不愉快と思うでしょう。 ただ、気持ちの知れた知人に対しては、弊社でも不自然ではないところも、日本語の難しいところです。
相手の会社は「貴社」「御社」
「貴社」「御社」(おんしゃ)とも意味は同じで、相手の会社を指します。
ただし、文章なのか、話すかで、注意が必要です。
●「貴社」=書く文章で使います
●「御社」=話す言葉で使います
「貴社」は「きしゃ」と呼びますので、話すときに使うと、「きしゃ」が記者なのか貴社なのか汽車なのか帰社なのか、混乱させてしまいます。そういう理由で、文字・文章で使うわけですね。
また「貴社」に「様」を付け、「貴社様」という使い方はしません。日本語では尊敬語を二重には使いません。
おさらい、当社・弊社・貴社・御社の使い分け方
自分の会社:「当社」「弊社」
●「当社」=社内で使います
●「弊社」=社外に対して使います相手の会社:「貴社」「御社」
●「貴社」=書く文章で使います
●「御社」=話す言葉で使います
「当社・弊社・貴社・御社」を公式に使う場合には絶対に使い方を間違わないようにしましょう。 会社そしてあなた自身の信用に関わります。
ただ上でも触れましたように、シチュエーション・TPOによっては、許容できる場合もありますが、最低限基本は必ずおさえておきましょう。
なんとなく見過ごしたり聞き流してきた「当社・弊社・貴社・御社」の使い方が、これでスッキリしたと思います。
これで今日から安心して使い分けができますね。
当社・弊社・貴社・御社の使い分けが身に着きましたので、これでライバルに差をつけましょう。